先日訪れたビバリーヒルズの超高級ホテル。こちらのホテルのティールームやランチに続々とやってくる地元マダム達を眺めていると、これぞセレブといった感じで、まるで映画の世界そのもの・・・。さりげなく高級感ただようファッションに身を包み、ヘアやネイルは極めてナチュラル。マダム達の年齢でナチュラルということは・・・かなりのケアがされているという証拠に違いない。おそらくノーファンデと思われる、つややかなお肌は完璧に手入れが行き届いている。そして内側から光を放つようなハリ、ツヤ、透明感が圧倒的な清潔感を放ちリッチさの証のように誇らしげに輝く。そう、この抜け感が上品でこの上なくゴージャスな大人肌なのだ。
透明感があるゴージャス肌の秘密は?
ランチの後マダム達は、こぞってホテルのSPAへと続くエレベーターへと消えていく。いったいどんなケアを受けているのだろう?マダム達のエイジレスなお肌の秘密を知りたいと思い、思い切ってSPAの扉を叩いてみることにした。ビバリーヒルズの高級ホテルのSPAへ足を踏み入れるこちらの緊張をよそに、にこやかに迎え入れてくれ、丁寧に話を聞いてくれたのだった。
こんにちは、マダムご予約でしょうか?
フェイシャルを受けたいのですが、こちらの地元マダムに人気のメニューはどんなものですか?
マダム達のような、ハリと透明感のあるつややかなお肌になるにはどんなエイジングケア方法があるのでしょうか。
その答えは・・・
こちらで基本のメニューとして、まず皆様が受けていらっしゃるのは定期的な毛穴のケア『エクストラクション』です。
まず毛穴の汚れを定期的にきれいにするお手入れを行ったうえで、栄養を与えたり
リフティングなどのフェイシャルメニューをご提案させていただいております。
年齢とともに、お肌のターンオーバーのサイクルが長くなり、さらに毛穴が詰まっていると、美容成分が入りませんのでまずは定期的にエクストラクションをするのがビバリーヒルズでは一般的です。
マダムのお肌を拝見してお勧めするのは、『Deep Cleansing Microdermabrasion Facial』という徹底的な毛穴ケアのコースです。普段、日本ではエクストラクションを受けていますか?
エクストラクション?
初めて耳にした言葉であった。まじまじと肌を見られて思わず目を伏せる・・・。
最近年齢のせいか、肌表面も内部も乾いたような乾燥が気になりますし、毛穴ケアを行うのは皮脂の多い若い世代のものといったイメージがあり、角質や毛穴の大掃除はなんとなく肌に負担をかけるような気がしてやっていません。マッサージやパックといった一般的なお手入れをしています。ただ、最近くすみや毛穴の開き、そしてアゴや額など部分的なざらつきが気になっています。
ビバリーヒルズで毛穴ケア体験
運よくその日の夕方に予約を取ることができたので、すすめられたコースを受けてみることにした。担当してくれたのは毛穴ケア(エクストラクション)を専門に、その道15年というベテランのエステティシャン。すこし緊張しながらも、ふわりと体を包み込むようなエステベットに身を預ける。
まずはクレンジング、そしてなにやら肌表面を柔らかくするお手入れへと続く。その後毛穴を一つ一つ熟練の指さばきで、汚れを押し出すようにしている。圧が全くかかっていなく、サッサッと弾むようなリズミカルな軽い指の動きが見てとれるようだ。これが、エクストラクションなのか!痛みは全くなく、その軽やかなタッチをできれば起き上がって見たいくらいだが、何しろ自分が受けているのだから見るわけにもいかずもどかしい。
「私の毛穴どうですか?」
エクストラクション歴15年の彼女に恐る恐る聞いてみる。
彼女もつややかで美しい肌を持ち、髪をシニョンにすっきりとまとめ
晩年のオードリーを思わせるような気品高い上品さを漂わせた女性だった。
「そうですね、毛穴に汚れがつまってしまっていますね。これでは、美容成分も浸透しにくくなり、お肌が乾燥してしまっていますね。」
私の肌の乾燥は、ターンオーバーではがれていない古くなった角質と毛穴に詰まった
汚れが原因でとても乾燥してしまっているそうだ。考えていた自己流のお手入れ法とは
全く逆説にも思われる意見に衝撃だった。
乾燥しているから、角質や毛穴ケアをしないのではなく、角質や毛穴ケアをしないから
乾燥しているのだ・・・。
エクストラクションに痛みは全くなく、ほどなく眠気が訪れた。
施術が終わった後、鏡をみてさらに驚いた。まるでプチ整形をしたかのように顔全体がリフトアップし、小顔になっていた。さらに、色も白くなっているではないか。手で触れるのがうれしくなるくらい、ツルツルで滑らかになっていた。うるおいをたっぷりと含んだ肌はぷっくりと、ハリと潤いを取り戻していた。
次回のケアは
次回は2~3週間後に続けて同じケアが必要らしく、予約をすすめられた。
落ち着いてくれば月に一度のケアでよいとのことだった。
マダム達は定期的なエクストラクションに加えて合間には、リラグゼーションのための
マッサージをうけたり、栄養を補給するエイジングケアを受けているとのことだった。
美容業界に長くいるが、ここビバリーヒルズと日本のエイジングケアには、いつも10年ほどのタイムラグがあるように感じる。ネイルケアや歯のケアに関してもそうであったように・・・。こちらでは当たり前でも日本ではまだまだ「それなあに?」という分野も10年たつと日本でも当たり前に溢れているのである。
ホテルを出てロデオドライブあたりのエステサロンや、美容皮膚科の看板を見て歩いて
みた。どこでも、エクストラクションが当たり前のようにメニューのトップを飾っていた。
5年後10年後には、エクストラクションは日本でも常識になっているのだろう。
Luxury Spa Coordinator 豊崎 禄子(TOYOSAKI SACHIKO)